プログラム概要: 研究体制

新たな枠組みで目指す、アジア地域統合学の創造

領域の再編成

GIARIの特徴は、政治、経済、社会の3領域をコア領域とし、各々の領域の研究を進めるとともに、3領域が相互に関連し、重なりあう「複合領域」について、研究者が領域を超えて共同研究を進める点にあります。このような研究方法をとることによって、アジア地域統合の相互連関的な構造を明らかにし、新しい地域統合理論の構想を目指してきました。しかしながら、各領域のガバナンスを体系化することができるかという点については、十分に検討されてきませんでした。

プロジェクトの折り返し地点に立った2009年春、その反省を踏まえた上で、領域編成をよりクリアな形で再編成すると同時に、各領域の課題設定をより明確にするために、キー・コンセプトを設定しました。

3領域と3つのキー・コンセプト

政治統合とアイデンティティ(I)グループ

アジア地域では、歴史的背景や安全保障などの問題から、政治分野での統合がもっとも難しいと考えられています。その壁となっている相互不信感を乗り越えるためには、協働・協力関係を積みかさねることによる新たなアイデンティティの共有が鍵になります。このようなアイディンティの明確化をはかるために、09年秋からAsia-Visionサーベイも実施しています。

経済統合とサステイナビリティ(S)グループ

デファクトとして統合が進む経済分野では、急速な市場化がもたらした格差拡大や環境悪化などの課題が深刻化し、発展の在り方が問われています。こうした問題に取り組むため、経済協力と環境協力との相互補完関係の形成に着目し、環境的・経済的・社会的サステイナビリティをキーワードとして研究を進めます。

社会統合とネットワーク(N)グループ

アジア域内における国際移動の特徴は、制度が構築される以前から、ネットワーク化がデファクトとして進行していることにあります。ここでいうネットワークとは、単に従来型の地縁、血縁によるものだけではなく、相互依存的な人のつながりや、NGO、市民(中間層、知識人や留学生)、シンクタンクなどによる主体的なネットワークをも含むものです。

研究プロジェクト

これらの新しい領域編成により、「アジア地域統合学」としての「GIARIモデル」の構築を試みています。また、GIARIモデルはGIARIメソッドとして、人材育成との連携をより緊密にすることも目指しています。