人材育成成果

社会統合とネットワーク

人材育成:支援スキーム:調査研究支援スキーム(学生)

洪 伊瑩 / 調査地域: アメリカ合衆国イリノイ州 シカゴ

2010.02.27

所属: アジア太平洋研究科
学年: 博士課程1年
氏名: 洪伊瑩
日程: 2010年2月27日 - 2010年3月6日

調査地域

アメリカ合衆国イリノイ州 シカゴ

リサーチ目的

今度の調査研究の目的は、2010年2月28日から3月5日までシカゴで開催される比較国際教育学会 (Comparative and International Education Society, CIES)への参加と研究発表である。なお、5日間にわたって開かれる多様なテーマのセッションにも積極的に参加し、世界各地から来た研究者たちと触れ合い、特にアジア地域と高等教育の国際化を巡る様々な研究の最新動向を把握する。

研究課題

最近アジアの高等教育の地域化は、東アジアサミットなどで議論されるようになり、域内の協力の必要性が高まっている。日本と韓国、中国は 去年の10月北京で開かれた3国首脳会議で、学生交流を中心とした3国の大学交流を促進する「アジア版エラスムス計画」に合意した。

本研究は、韓国の高等教育の国際化を地域的な観点から分析したものである。高等教育の国際化の二つのパターン、グローバル化と地域化のなか、韓国の高等教育の国際化がどちらに焦点を当てているのかを明らかにすることである。アジアの高等教育の急速な発展と伴い、地域内の教育交流と連携が活発に行われているなか、韓国の高等教育の国際化はアジア地域にどのように焦点を当て、リージョナルの概念を取り入れているのかを確認する。本研究は、高等教育の国際化関連の各種統計資料を用いて、韓国の高等教育の国際化現況を明らかにする。また、韓国政府が出している高等教育の国際化政策を時代別にレビューして、大学レベルでの地域的な国際化戦略も考察する。その上、 韓国−日本、韓国―中国、韓国―ASEANの教育交流の歴史と協力体制を考察する。そして、より効果的な国際化戦略を提示し、アジア地域統合における韓国の高等教育の役割と位置づけを確立する。

成果

今度の参加した CIESは、1日に約100くらいのセッションと特別講義が開かれる大規模の学会で、世界各地からの教育研究者たちが集まる場である。本学会が始まる前に、1日の Pre-Conferenceがあり、午前と午後のセッションが授業形式で行われる。私は「Introduction to the Concepts of Sampling, Weighting, and Variance Estimation in Educational Large Scale Surveys」に参加して、研究に必要な統計データの選択基準、収集方法と分析について勉強した。グループワークで問題を解決してみることによって、実際に活用可能な有用な情報が得られた。

CIESではアフリカ、ラテンアメリカ、中東、日本のような地域的 SIG(Special Interest Group)と高等教育、識字教育、言語教育などの SIGがあって自分が興味がある分野の SIGに参加することができる。私は主に高等教育SIGセッションに参加して、国際化、教育の質、大学の改革など、高等教育を巡った様々なイシューに関する発表を聞いた。 アメリカ、ヨーロッパーに加え、アジアとアフリカの各国のケーススタディーも多く、 普段はあまり接する機会がない地域の研究も多数あり、非常に興味深かった。一般セッションのなかでもアジア地域関連のものが結構あり、韓国と日本の大学の国際化政策の比較した研究発表など、自分の研究関心分野と一致するのも多かった。世界各地からきた多様なバックグラウンドを持つ研究者たちの議論を聞きながら、もう一度自分の研究を見直すきかっけとなった。

私は3月4日の「Internationalizing Higher Education」セッションで、"Internationalization of higher education and Regionalization in South Korea: Examining collaborations with East Asian Countries"というタイトルで研究発表を行った。比較的に規模は小さいセッションであったが、発表者一人一人に十分な質疑応答の時間が持たれたので良い議論ができた。また、この学会発表をきっかけに、日本語で書いた自分の修士論文を英語できちんとまとめられたのも一つの収穫だと思う。なお、CIESは、海外の研究者に出会い、交流を深める場でもあった。世界中からの研究者たちが集まる非常に国際的な雰囲気で、アメリカで活動している韓国人の研究者や韓国の大学からいらっした先生方もいた。修士課程の在学時、ソウル大学へ交換留学に行ったとき授業を受けたことがある先生にもお会いできたので、これからの研究方向について貴重なアドバイスやコメントをいただいた。毎年開かれる3大学のジョイントセミナーで一緒だった神戸、名古屋大学の人々にも久しぶりに会えて嬉しかったし、彼らの研究発表を聞いて良い刺激をもらった。 CIESではプレナリーセッションと特別セッションもあり、有名な学者たちの講演が聞けるメリットもある。私はアルトバック先生(ボストン・カレッジ)のセッションと世界銀行の教育政策セッションに参加した。

今度のCIES参加は、今までの研究活動をまとめて発表できた同時に、海外の研究者たちと交流を深めて国際的な視野を広めた非常に有意義な時間となりました。 最後に、今回の学会参加を支援していただいたGIARIに深い感謝を申し上げます。



事業推進担当者

Academic Adviser: 黒田 一雄

報告書


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