環境と人間の安全保障領域
人材育成:支援スキーム:調査研究支援スキーム(学生)
東島 雅昌 / 調査地域: カザフスタン共和国・アルマティ、キルギス共和国・ビシュケク
2008.12.09
渡航地(国・都市名)
カザフスタン共和国・アルマティ(12月9日-12月19日)
キルギス共和国・ビシュケク (12月19日-12月30日)
キルギス共和国・ビシュケク (12月19日-12月30日)
リサーチ目的
今回の調査では、カザフスタンとキルギスにおける選挙不正と権威主義体制の持続性の関係について検討するために必要な包括的な資料とデータを収集することを目的とした。選挙不正によって体制が維持・強化されているカザフスタンのナザルバエフ体制と、選挙不正がきっかけとなって体制が崩壊したキルギスのアカエフ体制を比較することで、権威主義体制がいかなる条件のもとで持続するのかについて、新たな理論枠組みを提示することを目指している。選挙不正以前の為政者による利益分配の性質が体制の持続性を決定するという仮説を検討するために、為政者による統治エリート・大衆への利益分配の度合いを把握できる各種データの収集に焦点を当てて現地調査を進めた。
研究課題
「選挙以前の為政者による利益分配が平等であれば選挙不正は権威主義体制を強化しやすいが、利益分配が不平等であればそれは権威主義を崩壊させる可能性を高める」。以上の仮説を検討するためには、(1)選挙前後での体制の持続性にかかわる政治過程についての正確な記述、そして(2)選挙前の段階での為政者による統治エリート・大衆双方への利益分配の状況、をそれぞれ把握できるような質的あるいは量的な資料・データが必要になる。
(1)体制の持続・崩壊にかかわる政治過程の記述分析
・2007年カザフスタン総選挙の前後の政治過程(統治エリートの動向)。
・2005年キルギス総選挙とその後の「チューリップ革命」の政治過程(統治エリートの離反と大衆との結びつき)。
(2)選挙前の利益分配の状況について
・クラン間の政治職の分配状況(為政者が統治エリートにおこなう利益分配)の検討。
・権威主義体制のもとでの選挙景気循環(為政者が大衆におこなう利益分配)の検討。
(1)体制の持続・崩壊にかかわる政治過程の記述分析
・2007年カザフスタン総選挙の前後の政治過程(統治エリートの動向)。
・2005年キルギス総選挙とその後の「チューリップ革命」の政治過程(統治エリートの離反と大衆との結びつき)。
(2)選挙前の利益分配の状況について
・クラン間の政治職の分配状況(為政者が統治エリートにおこなう利益分配)の検討。
・権威主義体制のもとでの選挙景気循環(為政者が大衆におこなう利益分配)の検討。
成果
上記の研究課題を達成するため、12月9日から12月31日までの約3週間、カザフスタンの最大都市アルマティとキルギスの首都ビシュケクにて現地調査をおこなった。
●訪れた機関等
(1) カザフスタン
・カザフスタン中央銀行:月次の経済指標(1996-2008)の収集
・カザフスタン政府統計局アルマティ支局: 中央あるいは州ごとの社会経済データの収集
・Kazakhstan Institute for Strategic Studies:選挙データの収集
・Kazakhstan Institute for Management, Economics, and Strategic Studies(KIMEP)
・Association for the Political Scientist and Sociologist: 選挙データの収集
・個人に対する聞き取り
Marat Nurgaliev (カザフスタン戦略研究所)
Seilehanov Erbulat Turanobich (カザフスタン戦略研究所)
・Academia Kitar:政治エリート便覧(Kto est’ Kto)など関連文献・資料の購入
(2) キルギス
・キルギス政府統計局:国あるいは州ごとの社会経済データの収集
・American University of Central Asia, Social Research Center
・キルギス民族大学(UNDP資料室):選挙データの収集
・ビシュケク人文大学
・個人に対する聞き取り
Ishendai Abdyrazakov (ビシュケク人文大学教授)
・Raritet:政治エリート便覧(Erita Kyrgyztana)など関連文献・資料の購入
選挙前に為政者・統治エリート・大衆間での利益分配がどのようになされているのかを両国で比較検討するには、まず統計分析に耐えうる体系的な政治経済データが必要になる。州ごとの社会経済データや月次の経済データを入手できたことは、選挙景気循環が権威主義体制下においても当てはまるのかどうかを実証でき、ひいては為政者の大衆に対する利益分配のあり方を検討できる。また、政治エリートの詳細が記されている両国の政治エリート便覧は地域ごとのエリート間の亀裂が政治に大きな影響を及ぼしているといわれる両国において、地域ごとの政治職の分配状況を検討でき、したがって両国の為政者と統治エリートの利益分配状況を比較できる貴重な資料である。これらの量的データのほかに、選挙過程や「チューリップ革命」の経過についての文献など仮説の実証上必要な質的資料を収集すると同時に、両国の内政の専門家に聞き取り調査をおこない、利益分配と体制の持続性に関して意見を交換した。
●訪れた機関等
(1) カザフスタン
・カザフスタン中央銀行:月次の経済指標(1996-2008)の収集
・カザフスタン政府統計局アルマティ支局: 中央あるいは州ごとの社会経済データの収集
・Kazakhstan Institute for Strategic Studies:選挙データの収集
・Kazakhstan Institute for Management, Economics, and Strategic Studies(KIMEP)
・Association for the Political Scientist and Sociologist: 選挙データの収集
・個人に対する聞き取り
Marat Nurgaliev (カザフスタン戦略研究所)
Seilehanov Erbulat Turanobich (カザフスタン戦略研究所)
・Academia Kitar:政治エリート便覧(Kto est’ Kto)など関連文献・資料の購入
(2) キルギス
・キルギス政府統計局:国あるいは州ごとの社会経済データの収集
・American University of Central Asia, Social Research Center
・キルギス民族大学(UNDP資料室):選挙データの収集
・ビシュケク人文大学
・個人に対する聞き取り
Ishendai Abdyrazakov (ビシュケク人文大学教授)
・Raritet:政治エリート便覧(Erita Kyrgyztana)など関連文献・資料の購入
選挙前に為政者・統治エリート・大衆間での利益分配がどのようになされているのかを両国で比較検討するには、まず統計分析に耐えうる体系的な政治経済データが必要になる。州ごとの社会経済データや月次の経済データを入手できたことは、選挙景気循環が権威主義体制下においても当てはまるのかどうかを実証でき、ひいては為政者の大衆に対する利益分配のあり方を検討できる。また、政治エリートの詳細が記されている両国の政治エリート便覧は地域ごとのエリート間の亀裂が政治に大きな影響を及ぼしているといわれる両国において、地域ごとの政治職の分配状況を検討でき、したがって両国の為政者と統治エリートの利益分配状況を比較できる貴重な資料である。これらの量的データのほかに、選挙過程や「チューリップ革命」の経過についての文献など仮説の実証上必要な質的資料を収集すると同時に、両国の内政の専門家に聞き取り調査をおこない、利益分配と体制の持続性に関して意見を交換した。
キルギスの首都ビシュケクより天山山脈(アラトー)の一部。
昔は毎日見えていたが、最近は週に1度程度しかきれいに見渡せない
とのこと。
カザフスタンの最大都市アルマティ。
石油のおかげで道路も整備され、走る車の8割以上が日本車である。
ただし渋滞も深刻になっている。
アルマティのバザールにならぶ色とりどりの果物。
アルマティは市街地がほとんど近代化されているが、
活気がある昔ながらのバザールも残っている。